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異常事態、列車の外に出るのは正解か?

1月11日に大雪のためJR信越本線で列車が立ち往生し、長時間列車の中に乗客を留めたJRの対応が批判されている。NHKニュースではマイクロバスによる救済の申し出を、乗客全員を運べないとして断ったという報道がされている。

水田地帯

上空からの写真を見れば周辺は水田。水田なら周辺には用水路があり、そこを流れる水は凍らない。私の会津若松の実家周辺(そこも水田地帯である)では、用水路が雪捨て場として使われている。積もった雪をスノーダンプで用水路まで持っていき、用水路を流れる水をもって溶かすのである。

列車の立ち往生が起きたのは夜間ということで、よほどの注意を払わなければ用水路に転落する危険性がある。さらに、雪の積もり方によっては雪が用水路にせり出している場合があり、昼間であっても用水路であることを視覚的に認識できない場合がある。

そもそも低地の平野部で半日足らずで40cm近く積雪が増えること事態が異常なことであり、このような状況下で外を歩かせることは二次災害の危険性があると言うほかない。

また、地方の駅では待合所が簡素な構造になっていることもある。その場合、数百人もの乗客をどう留め置くかが問題になる。

留まるのが奏功した例もある

災害の際、列車から外に出すのが最善の対応と考える向きがあるが、東日本大震災の際、JR仙石線の野蒜-陸前小野間の高台で被災した列車では乗務員が避難誘導をしようとしたところ、乗客に静止され、そのことで津波による人的被害を免れた。

こういった異常事態では、マニュアル通りの対応ではなく、柔軟な総合的判断が求められる。改善すべき運用は改善しなければいけないが、それが地域の実情を知らない在京マスコミの声によってなされるのは害悪だと思う。